検査による感染確認
まず各種検査によりピロリ菌感染を確認します。胃カメラ検査による慢性胃炎の診断と併せて、ピロリ菌感染が確認された場合に除菌治療の適応となります。
ピロリ菌検査・除菌
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃に感染する細菌で、胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因となることが知られています。感染していても症状がない場合が多いため、検査を受けて感染の有無を確認することが大切です。
当院では胃カメラ検査と併せてピロリ菌の検査・除菌治療を行っており、条件を満たせば保険適用で治療を受けていただけます。
ピロリ菌は胃の粘膜に住み着く細菌で、強い胃酸の中でも生き続けることができます。感染すると胃粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃炎や胃潰瘍の原因となります。
長期間感染が続くと胃がんのリスクも高まるため、早期の発見と除菌治療が重要です。日本では成人の約半数が感染しているとされ、特に50歳以上の方に感染率が高い傾向があります。
ピロリ菌の感染は主に幼少期に起こります。家族間での食器の共有、食べ物の口移し、井戸水の使用などが感染経路として考えられています。特に5歳以下の幼児は胃酸の分泌が少なく、ピロリ菌が感染しやすい状態です。
現在では上下水道の整備により感染率は減少していますが、家族内での感染を防ぐためにも検査と除菌が推奨されています。
ピロリ菌感染は胃がん発症の重要な危険因子(リスクファクター)とされています。感染により胃粘膜に慢性的な炎症が続くと、正常な胃粘膜が腸粘膜のような組織に変化する「腸上皮化生」が起こります。この状態が進行すると胃がんのリスクが高まります。
ピロリ菌感染者の胃がん発症リスクは非感染者の約3倍とされており、除菌治療により胃がんのリスクを軽減できることが報告されています。
採取した組織を顕微鏡で観察してピロリ菌を直接確認したり、培養してピロリ菌を増殖させたりして診断します。培養検査では抗生物質への感受性も調べることができます。
検査用の薬を飲んだ後に息を袋に集めて調べる検査です。精度が高く、体への負担もありません。除菌治療後の判定検査としても用いられます。
血液や尿中のピロリ菌に対する抗体を調べます。簡単に実施できますが、過去の感染も反応するため、現在の感染状況の判定には適さない場合があります。
ピロリ菌の検査・除菌治療が保険適用となるのは、特定の疾患が診断された場合に限られます。最も一般的なのは胃カメラ検査で確認される慢性胃炎です。その他、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんの内視鏡治療後などが対象となります。
健康診断でピロリ菌陽性と指摘された場合でも、保険適用で除菌治療を受けるためには胃カメラ検査による病気の診断が必要です。当院では胃カメラ検査を実施しており、ピロリ菌感染による胃炎や潰瘍の診断から除菌治療まで一貫して対応しています。
Step01
まず各種検査によりピロリ菌感染を確認します。胃カメラ検査による慢性胃炎の診断と併せて、ピロリ菌感染が確認された場合に除菌治療の適応となります。
Step02
2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制薬を組み合わせ、7日間継続して服用します。約70~80%の方がこの治療で除菌に成功します。
Step03
除菌治療終了から4週間以上経過した後、検査を実施して除菌を確認します。
Step04
1次除菌で効果がなかった場合、別の抗生物質に変更して再度7日間の治療を行います。2次除菌により約90%以上の方が除菌に成功します。
Step05
2次除菌についても同様に4週間以上経過後に判定を行います。
※3次除菌以降は自費診療となります